全日本漢詩連盟 The All Nippon Classical Chinese Poetry Association

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(2008年11月15日)

横浜媽祖廟の讃のこと

全漢詩連会長  石川 忠久

5月17日(土)、神奈川県漢詩連盟の総会に出席し、「神奈川の漢詩」と題する講演をした。その折、会場の横浜開港記念館に赴く途中、元町の中華街を通ったところ、媽祖廟の門の脇に私が作った「媽祖神讃」が掲げられているではないか。

実は、昨年秋のこと、私の昔の教え子で現在は日本華僑総連合会長の曽徳深氏が、横浜に新しく媽祖廟を創建した(平成18年3月落成)が、やはり媽祖を讃える言葉が欲しい、ということで私に依頼してきた。

媽祖は、中国の南方の沿海地方に広く信仰される交通安全、護国救民の守り本尊で、もとは実在の女性であった。言い伝えによると、

宋の初め(十世紀末)、福建省莆田[ほでん]県の林氏の娘は、生まれて一ヶ月も泣き声をあげないので“林黙娘”[リンモクニャン]と呼ばれたが、生長すると才知に長け、朝晩念仏を唱えて熱い信仰生活を送るうち神通力を得るようになった。彼女は蓆を用いて海を渡り、雲に乗って島を巡回し、霊力で災をしりぞけ病を癒したので、人々は彼女を神女として敬った。28歳の9月9日に天に召された後も、赤い衣装をまとって海上を舞い難民を救助した。歴代の皇帝も「天后」「天妃」「天上聖母」などの称号を贈った。

今日では、香港、マカオ、台湾をはじめ東南アジア各地の華僑社会に広く尊崇されており、この度横浜にも創建されるに至ったのである。

曽君の依頼を受けて、早速次のような讃を作った。讃は通例四字句で作る。

横浜媽祖神讃
通霊女神 湄洲分身
扶桑金港 廟宇此新
天行海路 浪静風匀
恩恵千載 保護万民

(通霊の女神、湄洲の分身、扶桑の金港、廟宇此に新たなり、
天行と海路、浪静かに風匀[ととの]う、恩恵は千載、万民を保護す)

<神・身・新・匀[イン]・民は韻字>

「湄洲」は莆田の海上の島で、ここに媽祖を祀る本殿がある。「扶桑」は、日本。「金港」は横浜。「廟宇」はお宮の建物。「天行海路」は空の交通と海の交通。「風匀」は順風ということ。

讃を作ったお礼に、年末に曽君の経営する珠江飯店で珍味をご馳走になったが、その時揮毫したものがこうして立派に建てられていることを知らなかったので、通りがかって発見し驚いた次第。それはともかく、横浜名所の一つとして、これから長く人に見てもらえるのは嬉しい限りである。


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