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会長通信
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四月末の連休を利用して、中国山西省を旅し、多年の念願の鸛鵲楼に登った。
鸛鵲楼といえば、唐の王之渙の千古の絶唱が知られる。
| 白日依山尽 | 白日山に依って尽[つ]き |
| 黄河入海流 | 黄河海に入って流る |
| 欲窮千里目 | 千里の目を窮めんと欲し |
| 更上一層樓 | 更に上る一層の楼 |
太陽は山に沿って沈み
黄河は海へと流れる
千里を見はるかそうと
もう一階上へと登る
言葉は至って簡単、表現はわかり易い。それでいて、天地を呑みこむような雄大さが人に迫る。ことに第二句が奇抜だ。
千キロも遠くの海へと流れる、滔々たる黄河。北から流れ下って、この地より東へ向きを変える、その屈曲点のあたりに立つのが鸛鵲楼だ。鸛鵲はこうのとりのこと、こうのとりがこの楼に巣をかけたので名づけたという。
三十年ほど前、この辺りへ来た時、予定にはなかったが、是非見たい、と土地の人に頼んだが、言を左右にして連れて行かない。たっての頼み、というとしぶしぶ案内した。何とそこには何もなかったのだ。黄河の氾濫によって町ごと流されたと。それで渋ったわけがわかった次第。
近ごろ立派な楼閣が復元されたと聞き、今度はそれを目指して行った。鉄筋コンクリート六階建の高いのが、曾ては何もなかった広い場所(今は公園として整えられている)に聳え立つ。武漢の黄鶴楼や南昌の滕[とう]王閣と同じだ。早速エレベーターで最上階へ。
生憎、春煙かスモッグか、ぼんやり霞んで遠くは見えない。ただ、黄河の流れとおぼしき黄色いすじが西南の方角に見え、王之渙の詩境をわずかに偲んだ次第。楼上には等身大の“王之渙作詩の像”が立っている。しばしたゆたい、一首ものした。
| 年來素志此登樓 | 年来の素志此に楼に登る |
| 樓上懐公凝両眸 | 楼上公を懐[おも]い両眸を凝らす |
| 千里空濛何所見 | 千里空濛何の見る所ぞ |
| 黄河白日自悠悠 | 黄河白日自ら悠々 |
公は、王之渙のこと。


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