投稿・寄稿記事
随想もろもろ
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| 桜花如雪水如煙 | 桜花[おうか]は雪[ゆき]の如[ごと]く 水[みず]は煙[けむり]の如[ごと]し |
| 行到嵐山別有天 | 行[ゆ]き到[いた]る嵐山[らんざん] 別[べつ]に天[てん]有[あ]り |
| 渡月橋頭春澹蕩 | 渡月[とげつ]橋頭[きょうとう] 春[はる]澹蕩[たんとう] |
| 軽風吹送美人船 | 軽風[けいふう]吹[ふ]き送[おく]る 美人[びじん]の船[ふね] |
石川忠久先生の数々の著書や「漢詩への誘い」また、服部承風先生の作詩助言・漢詩習作ノート、初学詩偈法の書を座右にして、余暇に作詩を楽しんでおります。
此のたび、全日本漢詩大会に投稿させて戴いたところ図らずも入賞いたしまして驚き恐縮いたしております。そのうえ愛媛県県民総合文化祭・漢詩大会に出席させて戴き、素晴らしい吟詩舞・華書道吟等を拝見いたしまして大いに感激いたしました。また伊藤竹外先生を始め関係諸先生方のご盡力に感謝いたしております。心より厚く、お礼申し上げます。本当に有難うございました。
遠足や花見等で色々と思い出の多い嵐山の詩を作ってみようと、先賢の詩を調べておりました処、日本名勝詩詳解に、菅茶山の「嵐山看花」・「萬樹桜桃擁碧漣・花間無処不芳筵・風来岸岸齊篩雪・失卻中流上下船」の詩が掲載されておりましたので、同じ先韻でこの詩を参考にしながら「嵐山賞花」の詩題で作ることにいたしました。
嵐山近くの車折神社の例祭で、毎年5月に王朝の昔そのままに十二単衣や狩衣装束に身をかためて屋形船に乗り込み、芸を披露する三船祭りと云う華麗な祭典が有りますので、最初に結句「軽風吹送美人船」の句を作りました。
亀山上皇が「くまなき月の渡るに似る」と云い、歩きながら月を見ていると、月も同じように橋を渡って行く感がするとして渡月橋と名付けられた「渡月橋」は風流な名前であるだけでなく、四季に変化する嵐山とせせらぐ大堰川に架け渡された優美なさまは天下の名勝によく溶け合って一幅の絵となっております。
そこで転句に「渡月橋」の固有名詞を取り入れ「渡月橋頭春澹蕩」としまして、起句に大堰川と岸辺の桜花の景色を「桜花如雪水如煙」と叙し、承句に「行到嵐山別有天」と苦吟推敲いたしまして、「嵐山賞花」詩が出来ました。
| 衲衣半破獨徘徊 | 衲衣[のうえ]半[なか]ば破[やぶ]れて 獨[ひと]り徘徊[はいかい]す |
| 乞食街頭空手回 | 街頭[がいとう]を乞食[こつじき]して 空手[くうしゅ]にして回[かえ]る |
| 此老不愁無一物 | 此老[このろう]愁[うれ]えず 一物[いちぶつ]も無[な]きを |
| 清風明月入窓来 | 清風[せいふう]明月[めいげつ] 窓[まど]に入[い]り来[き]たる |
この度の受賞は思いもかけないことで誠に恐縮しております。実は名所・旧跡の部門の作品も出させてもらいまして、そちらの方が苦労しました。それだけに入賞の知らせを戴いた時、最初はそちらの方だと勘違いしました。
私はまだまだ未熟者で、いつも一首出来上がるのに他の人達よりも日数がかかり、服部承風先生のお手を煩わせてばかりいるのですが、「良寛和尚」の作品はその中では割りに早かったように覚えています。
実は私は曹洞宗の住職をしておりまして、同じ宗門の良寛和尚・山頭火・穴風外・乞食桃水等の様に宗派にとらわれることなく、道元禅師の教えに忠実に大自然の生命を自己の生命として行雲流水の如く悠々と歩いておられる生き方が大好きです。
この度の作品は私のあこがれのこれらの散聖の方々の代表として生まれてきたと思っています。
措語で特に気を配ったのは、承句の下三字「空手回」と転句の下三字「無一物」で物質的世界観を斥け、結句の「清風明月入窓来」で良寛様の生きられた大自然の永遠の生命を少しでも表現出来たらなあと思いました。
生意気なことを述べまして失礼致しました。今後共精進致しますので宜しくお願いします。


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