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随想もろもろ
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七絃琴という古代楽器。その音色は森羅万象を包括し、爪弾くときには天地を震わせる。
伏義氏が創り、孔子を始めとする歴代の聖賢が座右に置き、時にはみずから作曲した。屈原も、司馬相如も、李白も、王維も、蘇東坡も曲を残している。──七絃琴とは詩人たちの楽器でもある。
詩人の末席に連なる僕が、この楽器を奏でるのも当然だろう。「独坐幽篁裏。弾琴復長嘯」(王維、竹里館)や「払彼白石。弾吾素琴」(李白、幽澗泉)を読むうちに、いつしか魅了された。
習い始めたのは中学二年である。楽器は購入できたのだが、先生が見つからずに困っていた。そこに──天佑神助であろうか──先生が中国から来日したのである。
先生の名は曽成偉。成都の人。演奏および琴の製造にかけては著名な人物である。宿舎に押しかけ、「教えて下さい」と頼みこんだ。先生も、予期せぬ懇願には驚いたと思うが、快く教えてくれた。
五日間で二曲覚えた。一晩は我が家に泊まっていただき、指法をとことん叩き込んでもらった。
その後、今に至るまで。琴を奏でるのは日常生活の一部である。そこからは多くの出会い、物語が生まれ、生活を多彩にしてくれる。とっておきの逸話として──
先年、石川岳堂先生と四川にご一緒した時、武侯祠において一曲披露した。終わってすぐ、「こんなのが出来たよ」と下さったのが左の一首である。
旧祠深処入幽篁。 忽聴瑤琴響古堂。
堂裏冷冷孰弾者。 如今此有少嵆康。
「嵆康」は竹林七賢の一人。弾琴と詩文と、みな抜群の腕前であった。「少嵆康」とは気恥ずかしいが、及ばずながら「平成の嵆康」たるべく琢磨したい。古人曰く「彼人也。予人也」である。


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