全日本漢詩連盟 The All Nippon Classical Chinese Poetry Association

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(2009年02月15日)
水戸市教育委員会教育長賞  河野光世
離恨  離恨[りこん]
孤燈瘦盡夜寒侵 孤灯[ことう] 痩[や]せ尽[つく]くして 
  夜寒[やかん][おか]
河漢西流月已沈 河漢[かかん] 西流[せいりゅう]して 
  月[つき] 已[すで]に沈[しず]
一別千行紅涙下 一別[いちべつ] 千行[せんこう] 
  紅涙[こうるい][くだ]
如今只願夢中尋 如今[じょこん] 只[た]だ願[ねが]う 
  夢中[むちゅう]に尋[たず]ねんことを

この度特別賞を頂きました「離恨」という詩は、別離の悲しみを詠んだものですが、締切が近づいたのに一篇の詩もまとまっていなかったある晩、偶々開いた詩語集の侵韻を眺めているうちにふと想が湧き、使い慣れた平易な詩語のみを用いて短時間のうちに出来上がったものです。

私は高校で講師をしておりますが、思えばその時期は授業で「長恨歌」を講じていたため、「恨」という思いがずっと頭の中にあり、又白楽天の作品を教える度にその平易でありながら印象的な表現に感じ入っていたこともあって、自らの思いを形にしようとした時、それらが大きな助けとなり示唆を与えてくれたのだと思います。

私の詩では眠れぬ秋の夜長を「孤」「痩」「寒」「沈」というマイナスイメージの語で描き出し、転句で「一」「千」の対照による単純な表現の中に「紅涙」というただ一つの熱さを点ずることによって、悲しみの強さを際だたせることを期しました。

そして結句の「せめて今は夢で逢いたい」という願いは、起句の「夢さえも結ぶことのできぬ辛さ」に再び回帰していくという形で、「恨」という尽きせぬ悲しみを表現してみました。 

今回は自由題でしたので、ともかく応募だけはしておこうと送ったこの詩で賞を頂けましたことに、驚いておりますと共に感謝にたえません。これを励みに今後益々精進して参りたいと思っております。


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